
いい映画の雰囲気を持ちながら、中身はアホ丸出しというドタバタ劇。どんな状況だよ、と突っ込まずにはいられない映画でした。16点
シラートのあらすじ
ルイスは、行方不明になった娘マルを探すため、息子エステバンとともにモロッコ南部の砂漠で開かれるレイブへ向かう。そこで出会った一部のレイバーたちは、「さらに奥の砂漠でも別のレイブが開かれる予定で、マルもそこにいるかもしれない」と話す。やがて兵士たちが現れ、レイブを中止させるとともにヨーロッパ人の参加者たちに避難命令を出すが、その一団は二台のバンに分かれて逃走。ルイスたちも小型バンで後を追う。その頃ラジオでは、二つの国家間で武力衝突が始まり、それが急速に第三次世界大戦のような規模へ拡大していると報じられていた。
レイバーたちは、ルイスとエステバンを危険だから引き返すよう説得しようとするが、二人は聞き入れない。一行は「モーリタニア近く」とされる南方を目指して進み、その道中でさまざまなトラブルに遭いながらも、少しずつ絆を深めていく。
しかし山道を越える途中、一台のバンが轍にはまって動けなくなる。全員で力を合わせて車を救出し、喜び合っていたその瞬間、ルイスのバンが後ろへ滑り落ち、エステバンを乗せたまま崖下へ転落してしまうのだった。
シラートのキャスト

- セルジ・ロペス
- ブルーノ・ヌニェス・アルホナ
- ジョシュア・リアム・ヘンダーソン
- トニン・ジャンビエ
- ジャド・オウキッド
シラートの感想と評価

オリベル・ラシェ監督、ペドロ・アルモドバル制作による、カンヌ映画祭で評判が良かったらしいロードムービー。予告動画だけ見ると面白そうだけど、蓋を開けるとなんの話かさっぱり分からない目的がコロコロ変わる、なんだそりゃ映画です。
時代設定や背景が謎で映像はあえて古くしてあります。雰囲気はどこかマッドマックスを彷彿とさせるディストピア感があり、なにか起こりそうな予感をさせます。そして物語は、スペイン人のルイスとエステバンの親子が、モロッコの砂漠のレイブ会場で娘のマルを探す、というところから本題に入っていきます。
変に回り道をせずいきなり目的を掲げ、本題に入るのはポイントが高いです。娘を見つける、というゴールがあることで登場人物の旅に意味が生まれ、分かりやすさも増します。視聴者からしても親子が娘と再会できたらいいなという感情が芽生え、話を追いやすくなりますね。
問題はなにひとつ詳細に触れないことで、娘がどんなふうに行方不明になったのか。そもそも母親はどうしたのか。なんでモロッコのそれもレイブ会場に娘がいると思ったのかといった情報は何一つありません。そして一人一人に聞き込み調査をして広い砂漠を探そうっていうんだから、それで見つかるの?という違和感が拭えませんでした。
車はどれも古い車ばかりで、それならひと昔の話なのかと思ったら、薄型のパソコンを使っている人がいたり、スマホを使っている人がいたり、と時代錯誤が半端なく、歩き回って探すよりSNSで探したほうがよくない?という疑問が生じました。
そして「なんなんだろうこの話」という違和感は、物語の中盤で突然戦争が勃発したことでさらに増していきます。モロッコのレイブ会場に突然軍隊が現れ、緊急事態だからいますぐ退避しろと命じられるのです。
レイブ参加者は泣く泣く会場を後にするのですが、一方で親子と、別のグループだけ退避命令を無視して暴走。モロッコの南を目指します。そこからはもう娘の行方はそっちのけで旅をただ楽しんじゃうだけの話になっていきます。さらに崖で車を停車させたときにアホな親父がハンドブレーキをかけ忘れたのか、息子が車に乗ったまま崖の下へと落下するという悲劇に見舞われ、もうなんのこっちゃいでした。
そこで息子を死なせたら、娘を探すっていう最初の目的が薄れちゃうじゃん。絶対ダメじゃんそんなことしたら。
登場人物同士の関係性も特に発展することもなく、悪化することもなく、ずっとニュートラルな関係が続きます。パーティー好きで、ヒッピーで、見た目はやらかしそうな奴らばかりなのに、みんなそれなりに常識人というのもがっかりだし、ほんとうにただ車を走らせるだけっていうね。
そして終盤になると最大のコントが始まります。あろうことか、小さな子供を亡くしたばかりの親父と、旅仲間たちは砂漠のど真ん中にスピーカーを設置して突然踊り出すのです。嘘だろ?と自分の目を疑いました。レイブ好きだからとにかく踊っちゃえよって感じなんでしょうか? レイバーたちはまだ分かる。いや、全然分からないけど、よりによってなんで親父まで踊るの? どんな心境だよ。
挙句の果てにはたまたま踊り出した場所が、実は地雷原だったというとんでもないオチまで待ってました。いまさっき戦争が始まったはずなのに、もうあちこちに地雷が埋めてあるのかよと思うと笑いが止まりませんでしたよ。
こうして何がしたいか分からない一行は、地雷をどう避けるかということにフォーカスし、娘を探すという最初の目的を完全に忘れるのでした。そしてそのまま何も解決することなく幕が閉じるという、あまりにもバカげたエンディングになっていました。いや、まじでなんの話だったのよ? 最初から娘を探しに行かなければよかったってこと?


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