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入国審査は意地悪でやりすぎ!

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アイデアはいいけど、今一つ物足りない茶番劇。ドSの役人がドMの移民を言葉責めにする映画です。45点

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入国審査のあらすじ

ベネズエラ出身の都市計画家ディエゴと、バルセロナのダンサーであるエレナは、彼女がグリーンカード抽選に当選し、ふたりが事実婚関係にあることから、一緒にアメリカへ向けて飛び立った。ふたりは、新しい生活を始められることに緊張しながらも胸を躍らせていた。

ニューアーク空港の入国審査に到着すると、緊張したディエゴがI-9申告書をなくしてしまったため、エレナがもう一枚記入する。審査官の動きを観察していると、ひとりの職員が比較的早く通しているように見え、ディエゴはその職員に当たったことを喜んだ。

しかし、パスポートをスキャンされた後、ふたりは指紋採取と写真撮影を受け、二次審査エリアへ案内される。ふたりは不安になるが、マイアミ行きの乗り継ぎ便があると伝えても、手続きは早まらなかった。

30分後、さらに座って待つよう指示される。機内で何も食べなかったエレナが、食べ物や水がないか尋ねると、職員から「ない」とだけ返される。ディエゴは、あまり質問すると面倒な人間だと思われ、問題になるのではと心配し、彼女を制止した。

やがて小さな取調室に連れて行かれ、荷物が再び徹底的に検査される。電話を電源オフにして預けるよう求められると、ディエゴは少し抵抗する。ニューヨークで兄に会ってからフロリダへ行くつもりだったからだ。しかし職員は、時間的に難しいかもしれないと示唆する。

麻薬探知犬による荷物と身体の検査が行われ、さらにふたりは身体検査を受ける。職員はエレナのインスリンと注射針を袋に入れる。面接の順番を待つ間、ふたりは部屋に残される。エレナは、こんな検査があるとは思ってもみなかったと憤るが、ディエゴは自分たちが監視されているのではと考える。

そこへ女性職員が入り、書類やSNSアカウント、再度の生年月日の確認などをひとりずつ求める。エレナがスペイン語でディエゴに不満を漏らすと、職員は流暢なスペイン語で「嘘は犯罪です、正直に答えてください」と返す。

「他の国籍はあるか」と聞かれたディエゴは、エレナを通じてスペインの居住権を持っていると答える。しかし職員は「スペイン国籍が正式に認められるまで待つべきだった」と指摘。ディエゴは「エレナのDV(多様化ビザ)が期限切れになる前に来る必要があった」と説明する。職員は、彼が過去に2回申請して不合格だったこと、他の家族も取得に失敗していることを確認する。

なぜ結婚ではなく事実婚なのかと問われ、ふたりは「必要ないと思った」と答える。職員は仕事について詳しく尋ね、なぜ他のEU諸国ではなく米国を選んだのかも聞く。エレナが「大使館でも同じ質問をされた」と不満を述べると、「新しい情報が入ったため確認している」と返される。

面接が進む中で、ディエゴが4年前にも米国を訪れ、同じように二次審査を受けたことが指摘される。質問攻めで緊張してきたことを正直に打ち明けると、職員は彼に「ケイト」という女性のことを尋ねる。マイアミ在住で10歳年上の女性と、かつて婚約者ビザで入国しようとした経緯があったのだ。エレナはケイトの存在を初めて知り、ショックを受ける。ディエゴは、エレナと出会ってからケイトとの関係を終わらせたと説明する。

ディエゴは2人の職員に呼ばれ、「グリーンカード目的なのではないか」と迫られ、ベネズエラ送還をほのめかされる。そこはかつて当局に拉致された国でもあった。続いてエレナも質問攻めに遭い、家族と会う時間がほとんどなくなることや、子どもができれば養育費が高額になることを指摘される。さらに職員はディエゴの意図に疑念を植え付け、男性職員はエレナに「ダンスを証明しろ」とまで求めた。

待合室に戻ると、ディエゴは泣いているエレナの姿を目にする。彼女は「バルセロナに帰りたい」と言い、ふたりは彼女が元婚約者の件を知っていたかどうかの答えが食い違っていたことに気づく。

入国審査のキャスト

  • アルベルト・アンマン
  • ブルーナ・クッシ
  • ベン・テンプル
  • ローラ・ゴメス

入国審査の感想と評価

アレハンドロ・ロハスとフアン・セバスティアン・バスケスの共同監督による、超低予算密室会話劇。アメリカの入国管理局の審査にひっかかったカップルが別室に連れて行かれて、色々と意地悪な質問を受ける様子を約2時間かけて見せていく映画です。

プロットはいいし、入国管理局を通る際に感じる緊張感は、誰もが体験したことがあるものなので感情移入もしやすいです。ただ、ちょっとやりすぎ感があって、途中からリアリティーを失っていくのが残念でした。

主人公のカップルは、スペインからアメリカにグリーンカード抽選に当選してやってきた男女で男はベネズエラ人、女はスペイン人です。ところがベネズエラ人の男は実は訳ありの過去があり、それをここに来るまで彼女に隠していたというのが最大の見どころになっています。

男は過去にも年増の女と結婚しようとしてアメリカに住もうとしたことがあり、パートナーのスペイン人女性はそれを入国審査で知ることになるのです。それによって二人の間に亀裂が生じ、信頼関係が揺らいでいく流れになっています。

男の過去を知るにつれてパートナーの女は、そんなの聞かされてないと怒り出し、混乱し、もう帰りたいと言い出すのです。そこまではそこそこ楽しかったんだけど、入国管理局の審査員が意味不明で意地悪な質問を連発していくところからだんだん見るのが面倒臭くなっていきます。

「お前はダンサーなのか?じゃあここで踊ってみろ」とか意味ないよね。ダンスのレベル知ってどうなるんだよって。そんなに踊れなくても、そもそもコンテンポラリーダンスの知識お前にあるのかよって話だし、逆にバリバリ踊れても、「これだけ踊れるなら入国しても大丈夫です」とはならんだろ。審査官の男がドSで、ただいじめることに悦を感じてただけなのが気持ち悪かったです。

それに途中から入国審査というより、結婚の審査みたいになっていて「あんな男とはやめたほうがいいよ」とか言い出す始末で、別れさせるのが目的なのが笑えました。全ては二人の関係、つまり愛が本物かどうかを見極めるためだと言えなくもないけど、「あなたたちは週何回やってますか?」とか大きなお世話だよって。だいたいその質問の正解はなんなんだよ。「毎日やってます」って言ったらOKで、「いやあすっかりレスですよ」って言ったらアウトになるの? どっちにしても証明できないだろ。

あそこまで疑ってかかるなら、もうとっとと入国拒否したらいいじゃんって思いましたね。精神的拷問に耐えないと入国できないっていう罰ゲームなの? 性格悪!

本作の最大の突っ込みどころは二人が正式な夫婦ではなく、事実婚カップルだという点でしょう。そもそも事実婚だったら二人のうちのどちらかがグリーンカードに当選しても配偶者としてパートナーを連れてこれないからね。その場合、それぞれが独身として当選しないと無理でしょ。スペインの事実婚も婚姻ベースのグリーンカード資格ないはずだけど、そういう一番肝心な部分にプロットホールが生じちゃっているのが残念でしたね。そのせいでその後の説得力がかなり薄くなっていました。

こうなったらラストはカップル同士が入管で取っ組み合いのけんかをするべきでしたね。髪の毛を引っ張り合って、「お前なんかとは二度と一緒にいるか」って突き放して、そんな二人を見ながら「このカップルは偽装結婚じゃないわ、これぞスペイン系の本物のカップルだ」って言って審査員がパスポートにハンコを押せばよかったんですよ。Welcome to the United Statesのオチもそれで完璧になるしね。

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