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ドーナツキングは優しいサクセスストーリー!ネタバレ感想

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この記事は 約6 分で読めます。

見る者をポジティブな気持ちにさせるアメリカに移民したカンボジア人のサクセスストーリー。決して華やかな世界の話ではなく、泥臭く働いて掴んだアメリカンドリームです。68点

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ドーナツキングのあらすじ

カンボジア内戦の勃発したときテッド・ノイは政府軍の少佐だった。共産主義勢力が増してくるに連れて国内にとどまるのは危険になり、彼と家族はタイに避難する。

そこでは米軍主導の難民キャンプが張られ、まもなくしてテッド・ノイは妻と二人の子供や親族を連れてアメリカに難民として移住することが決まった。

戦場からアメリカに来たテッド・ノイにとってはカリフォルニアの地は天国のようだった。文化や言葉の違う国で暮らす苦労はあったが、普通に食事が食べられるだけでもありがたかった。

テッド・ノイは家族を養うために毎日休むことなく働いた。そんなある日、テッド・ノイはアメリカのドーナツを食べて、そのあまりの美味しさに夢中になる。そして自分もドーナツを開くんだと決心し、チェーン店で働かせてもらうことにする。

それからわずか数か月後にテッド・ノイは自分の店を持っていた。そして見る見るうちに店舗を広げ、彼はやがてドーナツキングと呼ばれるほど、ドーナツビジネスで大成功を収めるのだった。

ドーナツキングのキャスト

  • テッド・ノイ
  • クリスティ
  • チェト・ノイ
  • サビ・ノイ

ドーナツキングの感想と評価

製作総指揮リドリー・スコット、監督アリス・グーによる、アメリカでドーナツビジネスで大成功したテッド・ノイをはじめ、ドーナツで家族、親族を支えてきたカンボジア移民の奮闘を描いた物語。アメリカンドリームを感じさせてくれる、ちょっといい話です。

難民としてアメリカにやってきたカンボジアの人々が休みなく働いて人生を変えた夢のある話であると同時にアメリカ政府の寛大さやアメリカ人がいかにカンボジア人たちを受け入れてきたのかをポジティブにつづったドキュメンタリーです。

当時の歴史、時代背景をしっかり説明しつつ、戦争によって祖国を失ったカンボジアの人々がアメリカでドーナツビジネスで成功を収めるに至った努力を分かりやすく解説していて、「すごいなあ」という言葉しか出てこなかったです。

特にテッド・ノイの成功秘話は拍手喝采もので、難民として右も左も分からないところからわずか半年で自分の店を持った、というだから尊敬しかないです。

しかしその裏には多くの心優しいアメリカ人の助けがあり、難民を快く迎え入れたアメリカ政府はもちろんのこと難民たちの自立をサポートした「スポンサー」と呼ばれる教会や慈善団体の存在があったそうです。

大きな希望を抱いてアメリカに着いたテッド・ノイは家族を食べさせるために教会の清掃、ガソリンスタンドの店員、セールスマンなど複数の仕事を掛け持ちし、ドーナツに出会います。

そしてドーナツに恋してからすぐにドーナツ店に修行に入り、オーナーにやる気を見込まれ、半年後には自分の店を持たせてもらったそうです。

テッド・ノイのすごいところはそこで満足せずに店を任されたと同時に自分で売りに出されていたドーナツ店をもう一ひとつ買い、二店舗同時に経営を始めたことです。それも全部自分で切り盛りしてたというのだから、どれだけ働くんだよって話ですよね。

ほっこりさせられるのが当時のドーナツ店のオーナーともいまだに関係があり、80歳を過ぎたテッド・ノイと90歳を過ぎたアメリカ人のドーナツ店オーナーが昔を懐かしそうに振り返ったりするのです。競合としてライバル関係にもなった二人なのにまだあんなふうにしがらみもなく話せるのはいいですねぇ。

テッド・ノイがすごいのは次々と店舗を広げていっただけでなく、カンボジア移民たちに店舗を貸し、支援していったことです。さらにかつて自分がしてもらったように難民のスポンサーを買って出て、100家族以上もアメリカに移住させたというのだから、どれだけカンボジア人から尊敬されているか想像に難しくないと思います。

テッド・ノイの成功のおかげで一時カリフォルニア州のドーナツ店の90%はカンボジア人が経営していたそうです。当時は大手のダンキンドーナッツすらカリフォルニア進出を諦めたほど個人経営の彼らの店に太刀打ちできなかった、というのは驚異ですね。

それもそのはずカンボジア人は働き者で、家族総出で休みなく働き、安価で質の高いドーナツを提供していたので、アメリカ人が勝てるはずがなかったのです。

朝早くから夜遅くまでの仕事はそれこそ過酷だったと思いますが、戦争を経験している彼らからしたら平和に生きていけるだけでも幸せなことだったのかもしれません。アメリカで生き延びるにはこれしかない、という強い意志もあってのことですね。

なにより自分の成功だけを考えるのではなく、同じカンボジア人同士助け合って、みんなで成功を掴んで来たのが素敵です。

また、テッド・ノイや彼の妻、そしてほかのカンボジア人たちがみんなアメリカが大好きだと言い、自分たちにチャンスをくれたアメリカに深い愛と感謝の気持ちを表す姿が立派です。自らの意思で外国に来たのにずっとその国の悪口を言ってる奴らとかとはやっぱり違いますね。もちろん多くの差別やトラブルも経験しているはずなのにそんなことは一言も言わないからね。もしかしたらカットされただけかもしれないけど。

ドーナツキングとなったテッド・ノイはやがて豪邸に住むようになり、カンボジア人コミュニティーのゴッドファーザー的な存在にまで上り詰めます。

しかしそこからギャンブルにはまって転落していく、という落とし穴が待っています。そこがなんとも人間臭くて、人生を感じさせてくれました。そのきっかけはラスベガスとの出会いだったそうです。

やめておけばいいものをギャンブル中毒になり、店のお金をつぎ込むようになり、やがて人から金を借りるようになり、借金の支払いとして店を売るようになり、ドーナツキングは真っ逆さまに地に落ちていきました。

そして最後には本当に全ての店を手放すことになり、夫婦離婚、家族離散となり、カンボジアへと帰って行くのでした。どれだけ波乱万丈なんだよって。

大成功するのもアメリカンドリームなら、転落していくのもアメリカンリアリティーという感がして、なかなかすごい人生のダイジェストを見させてもらいました。やっぱり成功を維持する、自分を保つのって大変なんですね。

ただ、いろいろあったけど、いまだにカンボジア人コミュニティーからは神のような、生ける伝説のように尊敬されているっていうのはなんかいいですね。カジノで全財産を失うのは間抜けな話なんだけど、多くの人々の生活を変えた彼の功績は否定しようがないからね。

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