こんな女、いねえだろっていうほどヒロインが訳の分からないキャラになっている犯罪ドラマ。ある時は控えめでか弱く、ある時は銃をぶっぱなすヒロインについていけませんでした。35点
アイム・ユア・ウーマンのあらすじ
1970年代、ジーンは犯罪者の夫エディを主婦として支えていた。そんなある日、エディは家に赤ん坊を連れて帰って来る。ところがその後、エディは突如として姿を消し、彼の仲間が家にやってきてはすぐに逃げるように指示してくる。
ジーンは事情がつかめないまま大金の入ったカバン一つでボディーガードのカルに引き渡され、逃亡生活を余儀なくされる。エディは何者かに命を狙われているらしかった。
その日を境にジーンは隠れ家でひっそり生活することを強いられるが、カルの助言を破って隣人と仲良くなってしまうのだった。そのせいでジーンのもとに二人の殺し屋がやってくる。
アイム・ユア・ウーマンのキャスト
- レイチェル・ブロズナハン
- アリンゼ・ケニ
- マーシャ・ステファニー・ブレイク
- ビル・ヘック
- フランキー・フェイソン
- マルセリーヌ・ヒューゴ
- ジェームズ・マクメナミン
アイム・ユア・ウーマンの感想と評価
ジュリア・ハート監督による犯罪逃亡劇。なんだか分からないけど逃げろと言われたから逃亡生活を始めた女性がとにかく逃げるだけの話です。
ストーリー性が薄く、なにか裏に意味がありそうでない、とんでもないオチが待ってそうで待ってない、面白くなりなそうでならない作品ですね。作風としてはコーエン兄弟の「ノーカントリー」を意識している感じがします。
至ってシリアスな話なんだけど、冷静に見ると結構滅茶苦茶で、夫がどこからか連れてきた赤ん坊を特別疑問も持たずに自分の子として育ててしまうヒロインのモラルにまずドン引きします。ダメだろ。
ヒロインは終始純粋無垢な顔をして、さも自分は善良な一般市民みたいな振る舞いをしているのが鼻につきます。実際のところは夫が犯罪者であることを知りながら共に生活を続け、他人様の赤ん坊を法的手続きも取らずに育ててる悪い女で、いざトラブルに巻き込まれたら被害者面するのが笑えますね。
そもそもヒロインがあまり可哀想に見えない状況だからか応援する目線になれないんですよ。赤ん坊のくだりがなければまだ救いようがあったでしょうね。赤ん坊はヒロインのサバイバルの理由付けに使われていただけに過ぎず、ヒロインを無理やり母親にして、守るべき対象を作り上げた感じがしますね。そして逃亡生活を続ける中で逞しくなっていくヒロインの成長を描きたかったのでしょうか。浅いですねえ。
話の展開としてはある隠れ家に行き、殺し屋に見つけられ、また別の隠れ家に移る、というのの繰り返しで、ストーリー上の最終的な着地点がちっとも見えてこないのが問題ですね。何をすればヒロインの問題が解決されるのか、逃亡生活が終わるのかが分からないから手に汗握るというよりは早いところオチを見せて欲しい気持ちになります。
途中で夫のエディを登場させて話をかき混ぜていくならまだしも、エディはすでに殺されたみたいな拍子抜けな終盤になっているのもダメだし、最後の追手を殺したからといってめでたしめでたしにはならないだろって思いました。
なぜかみんなヒロインのことを命懸けで守ろうとするのも謎ですね。そんなに彼女が大事な存在だとも思えないんですよ。夫の仲間のカルが守ろうとするのはまだいいとしましょう。でもカルの妻までヒロインのために命を賭けなくもよくない? ついこの前会ったばかりなのに。
これ、「最初から警察行けよ」って突っ込んでしまったら元も子もなくなる話ですよね。時代設定を70年代にする意味も特にないし。
にも関わらず上映時間は2時間たっぷりあるし、引っ張る割にはなにもなく終わっていきました。「じゃあ、2時間が過ぎたのでこの辺で終わりまーす」みたいな幕の閉じ方でした。
最後、生き延びたのはいいけど、あの天然ヒロインが何でどう生計を立てて、血のつながっていない子供たちを育てていくのか、そっちのほうが気になりますね。あいつ、何の仕事ができるんだろう。
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