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映画リンドグレーンは魔性の女の物語!感想とネタバレ

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若くしてシングルマザーとなったヒロインの苦悩と葛藤を描いた人間ドラマ。女性と男性では違った感想を抱きそうな映画です。66点(100点満点)

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映画リンドグレーンのあらすじ

アストリッドは、スウェーデン、ヴィンメルビュー近郊の田舎町で両親と3人の兄弟とともに暮らしていた。

アストリッドの家族は農家を営み、厳格なクリスチャンだった。ティーネイジャーの彼女はダンスパーティーに行ったとしても夜9時までに帰らなければ両親からしかられた。

同年齢の男の子たちは10時まで外出が許されたのに自分だけ早く帰宅しないといけないことには不満だった。彼女はときどき息苦しくなって発狂した。

文章を書くのが好きなアストリッドはある日、地元の新聞社でインターンをすることになった。まもなく既婚者の編集長ブロンベルクと恋に落ち、二人は愛し合うようになった。

ところがブロンベルクの子供を妊娠してしまい二人の関係は複雑になっていく。不倫の末の妊娠が世間にばれてしまっては閉鎖的な田舎町で生きていくことはできなかった。アストリッドの母は、誰にもこの事は知られてはならないと忠告し、ブロンベルクとの関係にも猛反対した。

一方、アストリッドとの関係のせいでブロンベルクは妻から訴訟を起こされ、姦通罪で牢獄行きとなる可能性まであった。

そこでアストリッドは、コペンハーゲンに向かい秘密裏で息子のラースを生むことにする。ブロンベルクの裁判が落ち着くまで、息子を里親のところに預け、事態が収まったら家族で一緒に暮らすつもりだった。

しかしいつまで経っても問題は解決せず、時間だけが無駄に過ぎていった。その間、ラースはどんどん大きくなり、アストリッドの気持ちも徐々に変わっていくのだった。,

映画リンドグレーンの感想と評価

児童文学「長くつ下のピッピ」で知られるアストリッド・リンドグレーンの半生を描いた、バイオグラフィー。監督はペアニル・フィシャー・クリステンセンです。

不倫の末、赤ん坊をみごもった若い女性が、貧困と偏見に苦しみながらも閉鎖的な社会で子供を育てどのように生きてきたかを描いた女性賛歌で、「長くつ下のピッピ」を読んだことがない人やアストリッド・リンドグレーンのことを特に知らない人が見ても、そこそこ楽しめるであろう作品です。

特にシングルマザーの人が見たらヒロインと自分を重ね合わせて、涙せずにはいられないんじゃないでしょうか。

舞台は1920年代のスウェーデンで、いわばかなり昔の時代の出来事です。しかし社会の偏見や固定観念にもがき苦しみながら生きる女性、という意味では今の時代にも通じる普遍的なストーリーになっています。

僕はどちらかというと、昔の話や未来の話よりも現代を描いた物語が好みなんですが、この映画は案外すっと話の中に入っていくことができました。

その要因には、ヒロインを演じたアルバ・アウグストがとても魅力的だったからというのが大きいです。

実年齢は20代後半なのにティーネイジャーの初々しさやピュアな感じをうまく出せていたし、アルバ・アウグスト演じるヒロインからは、自分で決めたことを貫く強さを感じることができました。

ストーリーにはリアリティーがあります。ときにはわがままで自己中心的、あるいは衝動的とも取れる行動をしていくヒロインの様子は、社会的には決して褒められたことじゃないかもしれません。

けれども打算的な部分があまりないせいか、到底賛成できない彼女の決断の数々の中にも正直さと誠実さを覚えるのでした。だからこそヒロインが悲しむシーンにはぐっと来たし、特に子育ての苦労話には感情を揺さぶられました。

でも冷静に考えると、もとはといえば年上の編集長を誘惑したのもアストリッドだし、子供をはらんだ末に彼を捨てたのも彼女本人なんですよね。

だからたとえアストリッドが貧しい中、一人で小さな子供を育てながら、働かないといけなくなってもそれこそが彼女が望んだ人生だった、というのがひとつのポイントでしょう。

女性賛歌って女性を被害者的、あるいは弱者的な立場で描くことが多いので、てっきり僕は若い女の子に手を出したおっさんが不義理なことをして、彼女を傷つける展開になるのかと思ってたら全然違いましたね。

そんな心配はいらないぐらいアストリッドは強く、悲劇のヒロインなんていう枠には収まりませんでした。

むしろアストリッドのほうから、あんたなんて御免だわ!と見切りをつけてしまう下りは、男の僕からすると、さもありそうで同時に女性の心変わりの瞬間をまじまじと見せられたようで怖かったです。

捨てられた男があのシーンで言っていたようにまさに「俺、なんか悪いことした?」なシチュエーションなわけで、あの男は一生なんで自分がダメだったのか理解できないんじゃないかな。

男に対して注がれていた愛情が、出産した途端、息子に向けられるようになり、やがて男は不要な存在になる、という雄と雌による厳しい動物社会の掟ですよ、あれは。むしろブロンベルクはあのときどうしたら正解だったんですかね。

不倫の末に若い子をはらましても、ちゃんと両親のところまで話し合いに行き、結婚する意志も表明し、ちゃんとその通り動いた彼はなかなか誠実だと思うんだけなぁ。

この映画では詳しく描かれていなかったけど、アストリッドの二人目の男で後に彼女の旦那となるストゥーレ・リンドグレーンも、同じく既婚者だったらしいですね。

つまりアストリッドは一度ならず二度も不倫をしただけではなく、それぞれの子供まで生んでるんですよ。それも両方とも相手は職場のボスっていうのが、なかなかのツワモノじゃないですか。それともただの懲りない女なのか、どっちなんでしょうね。

今の時代でもそんなことしたら相当叩かれるだろうし、当時なんてもっと世間の風当たりが強かったはずです。

二人目の男に関してはあえて深く映画の中で描かなかった理由はなんでなんでしょうかね。一度はまだしも、お前二度も略奪愛してんのかよって怒り出す視聴者がいるからやめておいたのでしょうか。いずれにしても僕は「長くつ下のピッピ」の作者が実は魔性の女だったということを知って少し興奮しちゃいました。

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