2017/03/18

コンカッション(原題CONCUSSION)

concussion

冷静に考えれば誰でもわかりそうな脳の障害とアメフトの関係性を発見したナイジェリア人医師の物語。アメフトの危険性を指摘したことによってNFLから嫌がらせや圧力をかけられるアメリカの汚い社会が覗ける映画。50点(100点満点)

あらすじ

医師のベネット・オマル(ウィル・スミス)は、ナイジェリアからアメリカへと渡る。検死官としても働く彼は、アメリカンフットボールのリーグNFLを引退した元ピッツバーグ・スティーラーズのスター選手、マイク・ウェブスター(デヴィッド・モース)の変死解剖を担当することに。その結果、マイクの死が頭部への激しいタックルが原因で引き起こされる脳の病気・慢性外傷性脳症であることを突き止め、論文にして発表する。しかし、NFLはその見解を全面的に否定し……。

シネマトゥディより


文句

ナイジェリア人ドクターVSアメフトリーグNFLによる医療バトル映画です。人々の健康と真実を明らかにすることを望む医師。アメフトの威信と人気を守ろうとするNFL。そんな両者によるドロドロのバトルを描いた社会派ドラマです。

題名のコンカッション(CONCUSSION)は英語で「震盪(しんとう)」を意味する言葉で、そのタイトルどおり物語もアメフト選手たちがタックルによって受ける脳震盪を取り上げています。

アメリカがいかに金や権力を中心に回っているのかがよく分かり、その点においては見る価値はあります。一方でストーリー自体は、引退したアメフト選手が長年のトレーニングによる脳のダメージのせいで何人も変死しているという事実以外はそれほど面白味はないかもしれません。

というのもわざわざ主人公のベネット・オマル医師が言うまでもなく、冷静に考えたらアメフトが脳に悪いことなんて誰の目にも一目瞭然だからです。

それを必死で隠そうとするNFLの無様さといったら絶句もので、不都合な事実は金と権力で隠してしまえというアメリカ特有の茶番劇が物語の全体を覆っています。

NFLからすると、大金が動く国民的一大ビジネスだけに自分たちのスポーツが健康を害するといったイメージが根付くことだけはどうしても避けたいようで、彼らは様々な圧力をかけてベネット・オマル医師を潰しにかかります。電話で恐喝し、FBIを使って彼を辞職に追い込み、奥さんを尾行して赤ん坊を流産させたりといった信じられない行動に出ます。

ここで注意したいのは、この映画があくまでも事実を基にしたフィクションであるということです。おそらく事実馬鹿たちは全部のエピソードを鵜呑みにしてしまうんでしょうが、かなり盛っている部分も目に付きましたね。ちなみにこの映画の基になったのはGQマガジンに掲載された記事です。興味がある人はぜひ読んでみてください。

>>Bennet Omalu, Concussions, and the NFL: How One Doctor Changed Football Forever

そんでもってこの人が本物のドクター、ベネット・オマル氏。

beneto

ストーリーの流れは、アメリカ映画によくある、正義感溢れる主人公が目標に向かって突き進む>挫折する>挫折を乗り越える>成功する、といったパターンにはまっていて、挫折する主人公に身近な人(奥さん)が名言を織り交ぜてアドバイスを送る、といったロッキーのような臭いシーンまであります。

それにしても健康に関するNFL側の苦しい言い訳が笑えますね。素直に健康を害する可能性やリスクを公表してしまったほうがよっぽど潔くてイメージアップになるんですけど、なんで分からないのかなあ。

例えばボクシングだって相手のことをぶん殴るスポーツだし、それによってパンチドランカーになったり、この映画でも言われている慢性外傷性脳症のリスクがあることが分かっていても、そのせいで人気が衰えることはまずないじゃないですか。

視聴者は単純に面白いから見るんであって、選手たちだってなにかしらのメリットがあるからやるんだし。それに安全性ばかり追求したら、スポーツってつまんなくなるしね。接触プレーなしのサッカーとか誰が見るんだよって。

だからNFLは開き直って、「危険だし、健康のリスクはあるけど、それがなにか?」って言ってやればよかったんですよ。なにを今更こんなことで大騒ぎしてるんだっていう話なんですよ。

挙句の果てにはラストに「引退したプレーヤーたちが2011年にNFLを相手に脳震盪のリスクを隠匿したとして訴訟を起した」といったテロップが流れます。自らその道を選んで、散々大金を稼いできた奴らがなにやってんだよ。まったく何から何までアメリカっぽい話だなぁ。

>>「コンカッション」はU-NEXTで視聴できます

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