2016/03/12

ロシアン・スナイパー(原題BITVA ZA SEVASTOPOL/BATTLE FOR SEVASTOPOL)

sniper

実在した天才スナイパー、リュドミラ・パブリチェンコの戦場での活躍を描いた戦争映画。まるでロシアが「アメリカン・スナイパー」に対抗して作ったかのような映画で、質と内容はどっこいどっこいの代物で、大した見所はないです。38点(100点満点)

あらすじ

1941年、ナチス・ドイツはソ連への侵攻を開始。大学生のリュドミラ・パブリチェンコ(ユリア・ペレシルド)は、その卓越した射撃の才能を見いだされてスナイパーとして戦場に駆り出される。ナチス兵を次々と狙撃していった彼女は、ナチスに「死の女」と呼ばれて恐れられる一方で、ソ連軍上層部には戦意高揚のシンボルとして利用されていく。黙々と敵の狙撃を繰り返し、彼女は戦場で出会った男性と恋に落ちるが、彼を失ってしまう。やがて戦争は激化し、リュドミラらソ連軍はセヴァストポリ要塞に追い詰められ……。

シネマトゥディより

文句

内容的にリュドミラ・パブリチェンコを追っているだけなので、邦題の「ロシアン・スナイパー」っていうのもあながち間違っていないんですが、「アメリカン・スナイパー」というのが先に出ているだけになんか意識しすぎてる感じがして嫌ですね。これっていかにもパロディー映画がやりそうな題名の付け方じゃないですか。本題は「セヴァストポリの戦い」ですよ。

ストーリーはリュドミラ・パブリチェンコが入隊し、戦場を駆け巡り、上官に恋をして、そいつが死んだらまた他の上官に恋をして、そいつが死んだら今度は一番最初からアプローチしていた医師に心を許すといった戦争恋愛物語風になっています。

途中、上官と男女の仲になると、急に戦場デートさながらキャッキャしながら、チュッチュしたりして、鼻の下を伸ばして殺気のないスキだらけの顔になっていくのがダメでした。僕が上官なら二人とも除隊です。戦場でセックスするなら2,30秒で済ましてください。間違ってもお互いの顔に泥を塗りあってはしゃいだりしてはいけません。

美人隊員が入隊したら上官や同僚からのいたずらだったり、レイプといったことが横行しそうですが、そういった裏側については触れていませんでした。ロシア軍人はあくまでも紳士的で、リュドミラ・パブリチェンコに最初からある種の敬意を払っていたというような描写でしたね。実際はどうだったんでしょうか。

なぜ僕がこの映画を見ようと思ったのかというと、つい最近あるアメリカ人の退役軍人と話す機会があったからです。その人はイラクやアフガニスタンといった本物の戦場を経験しているスナイパーで、長い間スナイパー養成機関の講師をやっていたこともあるそうです。

そんな人と話す機会なんて滅多にないので、僕は目を真ん丸くさせて子供のように根掘り葉掘り戦争のことを聞いてしまいました。幸い戦争の話も嫌いじゃないようで彼はノリノリで語ってくれました。そのときにどうしても聞きたかったことを僕は質問してみました。

「(アメリカン・スナイパーの)クリス・カイルって知ってますか。彼って本当にベスト中のベストなんですか?」。

すると彼はこう言いました。

「クリスのことはもちろんよく知ってるよ。彼はロングレンジの射撃の名手なんだ。でもベストかっていうと違うよ」。

じゃあ誰が最高のスナイパーなんだい?と聞いたとき、彼が挙げたのがこのリュドミラ・パブリチェンコだったのです。なんでもリュドミラ・パブリチェンコの射撃の手法はかなり斬新らしく、アメリカ軍のスナイパー養成の授業でも彼女についてよく触れるそうです。

普通、プライドの高いアメリカ軍人がロシア兵の名前を出しますか? それならそうとよっぽどすごいんだろうなこのリュドミラ・パブリチェンコは、と思ってこの映画を見たわけです。ところが肝心の映画はこのざまです。やっぱり偉人の偉業を映画になんかしちゃダメだということなのかもしれませんね。

いずれにしろ時代も所属する軍隊も違うスナイパーをどうやって比較するんだ、という疑問も残ります。命中率が高いほうがすごいのか、殺した数が多いほうがすごいのか、とか色々比較要素によっても違ってくるわけだし。ただ、スナイパー本人が「私は309人殺しました」とか自慢しちゃうのってちょっとね。なんかAV男優が「1000人の女とやりました」とかって言うのと同レベルのような気がします。あれ、違うかな?

そういえば僕が話したアメリカ人はこんなことも言っていました。

「クリス・カイルも上手いけど、サージェント・スズキの射撃もすごかったよ」

サージェント・スズキって誰だよって話なんですが、なんでも日系アメリカ人のすごいスナイパーがアメリカ軍にいたそうです。誰も彼については映画作らないんでしょうか。なにしてんだよ日本の映画業界は。早く探して来いよ、サージェント・スズキを。

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