
とりあえずなんでもかんでも家族にしちゃえば、いい映画撮れるでしょって思っている人が作った、浅いSF映画。演技ダメ、映像ダメ、設定ダメ、脚本ダメの救いようのない作品です。8点
箱の中の羊のあらすじ
近未来、甲本音々と夫の健介は、息子の翔を2年前に亡くし心に深い傷を負っていた。そんな中、夫婦は翔の姿をしたヒューマノイドを家に迎え入れることになる。
ヒューマノイドが到着した日、翔と同じ笑顔と声をした彼を音々は素直に喜んで迎える一方で、健介は歓迎的ではなかった。自分をパパと呼ぶヒューマノイドに違和感を覚え、おじさんと呼べという始末だった。
しかし一緒に時間を過ごしていくうちにやがて健介もヒューマノイドに心を開いていく。それに対し、音々はこのままでいいのか自問自答するようになる。そんな中、ヒューマノイドの翔はほかのヒューマノイドの仲間たちと交流を持ち始めるのだった。
箱の中の羊のキャスト

- 綾瀬はるか
- 大悟
- 木里夢
箱の中の羊の感想と評価

是枝裕和監督によるSF家族ドラマ。なにが描きたいのかさっぱり分からない、方向性の定まっていない映画で、設定やストーリーがブレブレ、ガバガバの作品です。

自分の息子を亡くした夫婦がアンドロイドで心の傷を埋めようとする、というプロットはいいものの、夫婦の倫理を問うのか、ロボットとの交流を描くのか、家族の喪失感を描くのか、はっきりとした目的、意図が感じられず、なんとなくその全てをやろうとして、どっちつかずの話になっている印象を受けました。
今まで一貫してリアリティー路線で来た是枝裕和監督がSFに手を出したこと自体が無謀な挑戦のようにも映りました。そのせいかSF、未来の話なのに現在と変わらない日常しか作れておらず、意外と想像力がないのかなあなどと思ってしまうと同時に、明らかに適正のジャンルで勝負していない感が出てました。
そもそもあのレベルのロボットが存在する世界って、相当高度な機械、AI、テクノロジーがそろっているはずなのに家も車も現代のものと変わらないのがいまいちだし、なんなら建築家や工務店の仕事すら機械、AIに置き換えられている可能性が高いですよね。それこそヒューマノイドに代わりに働かせたらいいんだから。
そんな時代においては家族の存在意義や夫婦の在り方なども当然変わってくるだろうから、現代の夫婦親子関係や倫理をあてはめるのもなんか違いますよね。それならそうと、現代とはまったく別の道徳感や死生観を見せてくれればいいのに、結局はただのいい人しか出てこないっていうね。
そういう細かい設定のズレ、SF感のなさみたいなものが蓄積された結果、全く魅力のない世界に仕上がっていました。
そしてなにより俳優陣の演技が絶望的に酷いですね。特に夫婦を演じた綾瀬はるかと大悟よ。まあ酷い。せめてTVドラマだけにしておけよって。国際映画祭に出品されて世界中の人々に見られる作品にどの面下げてお前らが出て来るんだよ。もちろん起用したのはキャスティング側だけどさ、それにしたってプロのレベルに達してないでしょ。なんだよ、あの不自然な夫婦は。アンドロイドの息子より、夫婦のほうが違和感あってどうするんだよ。大悟の名演技ってなんのこと言ってたの?
あと、息子の死を事故にするのか事件にするのかはっきりしないとダメでしょ。なんで事件を匂わせて、それも連続誘拐事件の犯人がまだ捕まってないみたいなミステリー風にしてんのよ。あの不必要なエピソードのせいで、余計に迷子になってたし、その割に最後までほったらかしじゃん。伏線張りっぱなしかよ。たとえミスリードに使ったのだとしてもセンスないよね。そのせいでほかのジャンルになっちゃうもん。
子供を失った親が、原因を外部に求めてしまう心理を描こうとしたと考えられなくもないし、ヒューマノイドたちが行方不明の子供たちを保護していたと解釈もできるけど、どっちにしても詰めが甘いんですよね。じゃあどうやってヒューマノイドが子供育てるのよ。食事は?
挙句の果てにはラストで、ヒューマノイドたちが森の中へと入っていき、あそこでみんなで共同生活するのか、ユートピアを作るのか知らないけど、なんでみんなが解放されてよかったねみたいなことになってるの。あいつら充電どうする気だよ。小川の電力? メーカー側は回収しないでいいの? メーカーも通さないで勝手に契約解除するんじゃねえよ。
映像、音楽、未来のアイデアなど、見ていて面白いところ、興味深いところがあったらまだしも、ほんとなにもなかったですね。最初から最後まで退屈。だから変にSFに手を出すこと、こういう辻褄が合わない滅茶苦茶な映画になるんだよ。もうまじでSFはやめろって。


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