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わたしは金正男を殺してないは必見の記録映画!感想とネタバレ

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この記事は 約5 分で読めます。

金正男を殺した実行犯をはじめ、彼女たちの家族や弁護士にインタビューを決行した面白すぎるドキュメンタリー。これはおすすめです。79点

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わたしは金正男を殺してないのあらすじ

2017年2月13日, マレーシアのクアラルンプール国際空港で北朝鮮の朝鮮労働党委員長・金正恩の実兄・金正男が二人の女性によって殺害された。

二人の名はシティ・アイシャとドアン・ティ・フォン。まもなくシティとドアンはマレーシアで逮捕され、死刑は確実だと考えられていた。

二人のほかにも事件に関与したとされる北朝鮮人が4人身柄を拘束されたが、どういう訳か4人はすぐに釈放され、北朝鮮に送還された。こうして事件は闇の中へと葬られようとしていた。

そんな中、シティとドアンが北朝鮮人たちに騙され、殺人を犯すように仕向けられたことを知った弁護士たちはシティとドアンの無実を主張し、なんとしても死刑を免れようと努力する。

わたしは金正男を殺してないの出演者

  • シティ・アイシャ
  • ドアン・ティ・フォン
  • アナ・フィーフィルド
  • グーイ・スーン・セン

わたしは金正男を殺してないの感想と評価

ライアン・ホワイト監督による、金正男暗殺事件の真相に迫った衝撃のドキュメンタリー。事件当日、そして前後に実行犯の女性二人に一体何が起こったのかを詳細にわたって解説している記録映画で、北朝鮮の恐ろしさを改めて思い知らされました。

事件当時、たくさん報道されていたので同件については知ったつもりでいましたが、やはりニュースの報道だけでは断片的なことしか伝わりませんね。ほぼ何も知らなかったことに気づかされました。

特に加害者の二人の女性については北朝鮮のスパイ程度の認識しかありませんでした。ところが二人の生い立ち、経歴をたどっていくと、ただの暗殺者ではないことが分かります。

簡単にいうと、シティ・アイシャとドアン・ティ・フォンは北朝鮮にまんまとはめられたのであって、そんな二人を殺人の実行犯として死刑にするべきかどうか、というのが裁判、そしてこの映画のテーマとなっていました。

事件はマレーシアで起きたのに対し、シティ・アイシャはインドネシア人、ドアン・ティ・フォンはベトナム人、つまり二人とも外国人なのです。

共通点はそれだけでなく、二人とも貧しい田舎の出身で、よりよい暮らしを求めて各地を転々とした末にマレーシアのクアラルンプールにたどりついた、という点でも同じです。

そして貧しさから、生きるためにシティ・アイシャは風俗の世界へ入り、ドアン・ティ・フォンも水商売やモデルの仕事をして食いつないでいました。

そんなときに現れた謎の男たちは日本人を名乗り、自分たちを日本のプロダクションと偽って、どっきり企画の番組の出演を二人に持ち掛けます。それにしても北朝鮮のスパイはこういうときに限って韓国でもなければ、日本を名乗るところがちょっと腹立ちますね。日本の世界的信用を悪用するっていうね。

実際に事件が起こる前から何度も二人にどっきりを仕掛けさせ、道行く人の背後に回り、両目を手で覆って「誰だ?」といったいたずら行為を練習させます。その度に何百ドルもの報酬をもらって、どっきり番組の出演者としての成功を約束されたもんだからノリノリになってしまったんですね。

こうして完全に信じ込んだ二人は事件当日両手に毒を塗られ、金正男の顔に「誰だ?」をやってしまったのでした。

そんなバカな、という話だけど、ろくに教育を受けて来なかった若い子なら、成功のため、お金のため、貧困脱出のため、疑うことを知らずに、悪い大人の言いなりになってしまうのは想像に難しくないでしょう。

北朝鮮のスパイたちが二人を暗殺者に育てあげていく過程も驚きですが、事件に関与したとして北朝鮮人が逮捕されてもあっさり釈放されてしまう北朝鮮の交渉力、政治力も恐ろしいですね。

あの背景には北朝鮮に駐在していたマレーシア人たちを人質にしていた事実があって、マレーシアは釈放せざるを得なかった事情があったんですね。

マレーシア側からしたら、よその国の政治的事件に自分たちの国民を巻き込むのは得策じゃないと考えたんでしょう。それはある意味、テロリストに屈したことにもなるけど、自国民の人命を優先したのは英断だったともいえるし、なかなか難しいですねぇ。

いずれにしろ結局のところ黒幕たちを逃がしてしまったわけで、黒幕不在での実行犯二人の裁判にどれだけの正当性があるのかが裁判の焦点となりました。結局のところ女性二人も同じく釈放されたのは報道の通りですが、あの判決もなかなかの衝撃の結末でしたね。

これが日本だったら、あるいはアメリカだったら、またほかの国だったら全く違った判決になっていたでしょうね。なんであろうと殺したのは事実だから実刑にはなるよね。

あの判決に関しては視聴者それぞれが考えるところがありそうです。果たしてはめられたとはいえ二人は本当に無実といえるのか。加害者なのか、それとも被害者なのか。どちらにしても究極の裁判だったと思います。

そして釈放されて母国に帰った二人が、まるでセレブ扱いされる、というのが最大のどっきり企画みたいで現代社会の恐ろしさを見たような気がします。色々と怖い話でした。

コメント

  1. きのこ食べ過ぎ より:

    日本の報道でもこの二人の女性が「道具として利用された粗忽者」という部分までは知っていましたが、在朝マレーシア人が人質にされていた事まではしりませんでした。
    加害者(黒幕)と被害者が共に北朝鮮人だった事と、現場がマレーシアという小国だった事が、この事件があまり国際問題化しない理由だったのでしょうか?
    金正男は何か殺され損ですね、日本のディズニーランドで捕まるとかいいキャラだったのに。

    • 映画男 より:

      ディズニーランドに金正男が行ったのをリークしたのも北朝鮮じゃないかという説も面白いですよね。