
地味だけど、よくできている作品。海外で評価されているのも納得の一本です。60点
FUJIKOのあらすじ
1977年、嵐で停電した病院で富士子は娘・麻理を出産。ところが夫の実家に戻ると、姑や義姉から「嫁なのだから家業を手伝え」という扱いを受ける。夫も富士子の味方にならない。さらに、姑たちは麻理を自分たちの家の子のように扱い、富士子から引き離そうとする。富士子の母・千代が乗り込んできて、娘と孫を守ろうとする。
最終的に富士子は麻理を取り戻し、夫と離婚して、自分一人で麻理を育てることを決意する。富士子は仕事を探すが、幼い麻理を抱えているため簡単にはいかない。やがて周囲の人間に助けられながら、喫茶店などで働くようになる。さらに生活のため、かなり危険な賭場の仕事にも入っていく。それでも富士子は、麻理を育てるために働き続ける。そんな中、富士子の父親が亡くなり、葬儀の場でも親族との間で激しい衝突が起こるのだった。
FUJIKOのキャスト

- 片山友希
- 渡辺友那
- YOU
- リリー・フランキー
- MEGUMI
- うじきつよし
- 竹下景子
- イッセー尾形
- 岸本加世子
FUJIKOの感想と評価

木村太一監督による、実の母親の人生を基にしたシングルマザーの波乱万丈の半生を描いた人間ドラマ。特になにがすごいという映画ではないけど、一人の人生をコミカルかつリアルに描き、芸術性と娯楽性を含んだ質の高い作品です。
キャストのチョイスもいいし、大げさな感動を狙う演出もなく、淡々と逞しい女性を追いかける手法に好感が持てました。
ヒロインを演じた片山友希がいいですね。みすぼらしい女にもなれるし、不幸なオーラも出せるし、そうかと思ったらすごい美人にもなれるって安藤サクラ以来のインパクトを受けました。
あとはイッセー尾形かな。葬式の日に家族の口論中にいきなり怒り出す、家族とは無関係のおじさんとか最高じゃないですか。お前誰だよって思っても誰も何も言えない、風貌と存在感を放っていて素晴らしかったです。やっぱりイッセー尾形ってすごいよね。地味な役柄が多いけど、ほんと名脇役だと思います。
ほかにも俳優陣たちはそれぞれ素晴らしいんですけど、MEGUMIがしゃしゃり出てる感じはちょっと鼻につきますね。なんだろうね、あのしゃしゃり出てくる感は。いつから名プロデューサーみたいなことになってんの?
ストーリーは、シングルマザーが生きるのに精いっぱいという中、どうやって困難を切り抜けていくのかにフォーカスしていて、正直話自体は特に面白くはないです。エピソードの中で強いのは、賭場の仕事ぐらいですかね。
ヒロインが賭場でご飯を作る仕事をしたら、やくざたちに気に入られて彼女のご飯が大人気になるっていう流れはいいし、賭場のシーンに限らずかなり意識して食べ物を美味しそうに映していましたね。食テロかよって思うぐらい、食欲そそるシーンをしれっと入れてきて、なかなかいやらしい演出だったと思います。
それが以外のシーンでは特に見どころがあるわけじゃないし、笑える、感動する、やるせなくなる、といった感情を動かされるシーンが多いわけでもないんです。なのにこの子どうなるのかなと視聴者を心配にさせるものがあって、心配していたら、いつの間にか最後まで見ていた、いや、見守っていたという感覚に近いかもしれません。いずれにしても見れるんですよね。それ自体が邦画としてはかなり珍しいと言えるでしょう。
なにより全体的にヒロインを通じて日本を、そして人生を感じさせてくれるのがよかったです。嫌なこと、理不尽なことの連続なんだけど、少なからず節々で自分を助けてくれる暖かい人の存在がある。ヒロインが生き延びてこれたのはそういう人たちのおかげで、人生捨てたもんじゃないなという気にさせられる話ですね。
強いて言えばもっと男関係のことを赤裸々につづってもよかったかな。保険の勧誘のために枕営業したり、やくざと愛人関係になったりっていう生き延びるためにはなんでもします的なエピソードがあっても悪くなかったじゃないかなと思いますね。それだけ切羽詰まってたんだし。
結婚の話も、相手とちゃんとやることやったうえで親密さを見せつつ、それでラストにつなげるほうが、強い女、自立した女というイメージをさらに強調することができたはずです。ラストシーンでの男の態度も爽やかすぎて現実味がなかったですよね。あそこはちゃんと恨み節の一つでもいうか、罵らないと。とはいえいい終わり方でしたね。好きな作品です。



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