2017/10/21

Only When I Dance(原題)

83点(100点満点)

ストーリー
リオのスラム街ファヴェーラで暮らすイルランとイザベラはバレエ学校に通うティーネイジャー。普通の学生と同様学校に通いながら、空いた時間の全てを練習に費やす毎日を送る。本人たちはつらい練習はもちろん、怪我や減量に苦しみながら戦う一方で、家族はどうにか海外でチャンスをつかんでもらいたいとお金をかき集める。全ては世界の舞台に立つために。

感想
ファヴェーラで育ち、貧しいながらも夢を追う2人の少年少女を追う渾身のドキュメンタリー。二人の踊りが美しすぎて、いきなり釘づけになる。あどけなさの残る子供に、本気で夢を追いかけている人間の気迫とオーラが宿っていて、ただただ脱帽。一流の人間のパフォーマンスを見た感動で自然と涙が出てきました。

一番印象的だったシーンは、学校で期末テストをイルランが受けるシーンで、とにかくファヴェーラのどうしようもない公立学校だから、その年を締めくくる重要な試験にも関わらず生徒たちはテスト中にしゃべりっぱなしで、先生の言うことも全く聞きません。これから海外に挑戦しようとしていて、そのために学業もおろそかにできないイルランと、他の生徒たちの温度差がはっきり浮かび上がるシーンでした。あんな状況の中で自分のやるべきことだけを淡々とこなしていく10代の若者ってどんな精神力の持ち主なんでしょうか。

また、映画では触れてなかったけれど、イルランは見るからにゲイで、ブラジル国内はもちろん、最も教育レベルも低く、閉鎖的なファヴェーラではそれこそものすごい差別を受けているだろうな、と予想できます。それでも夢を本気で追いかけている彼にはそれこそ周囲の程度の低い誹謗中傷には動じない盲目的な強さがある。彼自身から放たれる悲壮感がそう思わせるのです。

イザベラはイザベラで家族も貧しければ、バレエ界では稀な黒人ダンサーというハンデばかりの運命を背負っている。生まれつき肉付きのいい体系をしているため過酷な減量も強いられる。それでも諦めない、あのファイティングスピリットは一体どこから湧いてくるのか。そして世界のレベルに届きそうで届かないという一番難しい位置にいる、どうしてもあと一歩を超えられない彼女を見ているとやはり運命を恨まずにはいられなくなり、またそういった部分により強く「人生」を感じるのでした。この二人はいい大人になるだろうなあ。ブラジルも捨てたんもんじゃないなあ。

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