ヘイト・ユー・ギブはベタな黒人差別映画!感想とネタバレ

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黒人の少女が、ある事件をきっかけに人種差別に立ち向かっていく”勇敢”なストーリー。人種によって感じ方も当然変わってくるでしょうが、つっこみどころのある話です。52点

ヘイト・ユー・ギブのあらすじ

『ヘイト・ユー・ギブ』3.13[デジタルロードショー]スタート

16歳のスターは黒人が多く住む、貧しくて治安の悪いガーデン・ハイツに住みながら学校は白人たちの通う私立の学校に通っていた。

ある日、スターは地元で開かれたパーティーに友人と行く。そこで彼女は幼馴染の男の子カリルと久々に再会した。カリルはスターにとって初恋の相手であり、初めてのキスの相手だった。

スターには学校に白人の彼氏クリスがいたが、カリルとの思い出は忘れていなかった。パーティーで喧嘩が起こり、二人は逃げるように車で一緒に帰った。

ところが道中、警察に停められ、あろうことはカリルは銃殺されてしまう。警官はカリルが何気なく握ったヘアブラシを武器だと勘違いして、発砲してしまったのだ。

その全てを現場で目撃していたスターはひどいショックを受け、動揺する。カリルが何もしていないことを話しても警察は彼女の言葉をまともに受け取ろうとはしなかった。

これをきっかけにスターの生活は一転する。唯一の目撃者として正義のために裁判で証言台に立つべきだ、という意見と安全のために表には出るべきではない、といった意見が飛び交った。

スターは証言しようと決めていたが、地元のギャングのボス、キングはそれをよく思っていなかった。カリルは麻薬の売人をやっていてキングの麻薬をさばいていたために自分に被害が及ぶと考えたのだ。

ヘイト・ユー・ギブのキャスト

  • アマンドラ・ステンバーグ
  • レジーナ・ホール
  • ラッセル・ホーンズビー
  • KJ・アパ
  • アルジー・スミス
  • ラマール・ジョンソン
  • イッサ・レイ

ヘイト・ユー・ギブの感想と評価

読者のあいまいみーさんのリクエストです。ありがとうございます。

ハリウッド版「Shall We Dance?」の脚本家として知られるオードリー・ウェルズ監督の遺作。

2018年公開の映画ながら、2020年5月25日に白人警官に殺害された黒人男性ジョージ・フロイドの事件を彷彿とさせるリアルタイムな人種差別黒人映画です。

黒人の地域に住み、白人の学校に通う彼女が日々どのような葛藤に苦しみ、また警察によって殺された友人の死を通じて白人優位主義の社会に対して声を上げていく勇敢な姿を描いていきます。

いわばブラック・ライブズ・マターの運動をそのまま映画化したストーリーで、リアリティーは十分だし、実際にアメリカでは起こりうる話なので、まあ普通に最後まで見れます。演技、演出もそれほどひどくないし、定期的にこういう映画を作って、不公平な社会に問題提起するのことはとても大切です。

一方で黒人が白人の警察に不当に拘束され、殺される事件はアメリカでは昔からずっと起こり続けていることなので、これを見て「へえ、アメリカではこんなひどいことが起こるんだぁ」と今さら思う人はまずいないでしょう。

そういう意味ではどこかで見聞きしたような話という印象を受けるし、人種問題を取り上げた過去作品の焼き増しともいえるかもしれません。早い話がワンパターンなんですよね。

監督は白人ながら、完全に黒人被害者目線で描かれているため、黒人を美化しすぎている感も否めないです。

警察が黒人を殺す>黒人のコミュニティーが抗議する>それでも白人警官は無罪放免となる>暴動が起きる、という流れなら、それに便乗した店舗の略奪なども描くべきだけど、そういうシーンはありませんでしたね。ギャングのボスを除いて、黒人はみんないい人的な描き方が気になりました。

特に何も解決していないのに、ラストはなぜかハッピーエンド風に終わっていたのも謎でした。いつの間にかギャングのボスを逮捕する話に変わっちゃってるじゃん。問題のすり替えも甚だしいです。

また、あれだけ家族が全てだ、家族は俺の人生だなどと言ってるお父さんが、家族に命の危険が迫っていても、決して地元から引っ越そうとしない矛盾点は突っ込むべきところでしょう。

黒人としてプライドを持つことや、地元に対して愛着を抱くのはいいんだけど、ギャングに命を狙われたり、店に火を付けられたりしても、なおこの街で育ったんだから、この街で生きるんだ、みたいな考えは理解に苦しみますね。

生まれ育った場所でずっと生きることを美談にする人って僕からすると、すごく不思議です。もちろん本人が幸せならそれでいいんですよ。

でもスターの家族はどう見ても幸せどころか家に銃弾が飛んで来たり、息子がボコボコにされたり、明らかに命の危険にさらされていましたよね。それなのに意地になってあそこに居座る理由が分からなかったです。むしろそれを勇気などとと勘違いしているふしがって、嫌ですね。死んだら終わりだからね。

めちゃくちゃ名言ぽいこと言ったり、ギャングに立ち向かったりして格好つけてるけど、あのお父さん、実は結構アホですよね。ああいう状況で冷静な判断が下せないお父さんとか嫌だわあ。

また、スターも若干うざいところがあって、特に恋人のクリスに対する態度はひどかったなぁ。クリス、普通にいい奴じゃん。約束をすっぽかされても、家族に会わせてくれなくても、初対面のお父さんからひどいこと言われても、全部許してあげるんだから。

そんな心優しいクリスにセックスすらさせないってスターだけにスター気取りもいいところですね。

コメント

  1. さりさりにゃーま より:

    >ラストはなぜかハッピーエンド風に終わっていたのも謎でした。

    ちょっとおもしろいです。
    皮肉ですが現実に合わせてよく出来ているのかもしれません。
    粗筋を読んでこの映画どういう視点からどう締めるんだろうって興味を覚えましたし、BLMもどこに落とすんだろ?って思っていたので。

    とりあえず幸せっぽいから良いや!ハッピー!みたいな感じが、BLM被害者の娘が大金もらって喜んでいたのを見た時の感覚と重なりました。
    古風な感覚かもしれませんが、お金なんていらないからお父さんを返してよ!ってニュースだと思って読みすすめた時の衝撃ときたら・・・・・・

    • 映画男映画男 より:

      そもそもヒロインと被害者は家族関係じゃないっていうのも微妙な設定かもしれませんね。

  2. 通りすがり より:

    何つーか、小中学校時代に学校で読書感想文や作文を課題にされる際に、要領の良い子は「先生が高評価しそうなポイント」を抑えて、ササっと適当に仕上げちゃったりするじゃないですか、その方が面倒無いし評価もつくから。
    最近の若手の監督って、カンヌ他・諸所映画祭の常連のリベラル左派系の評論家達を意識した薄っぺらい「良い子ちゃん映画」を安易に撮りたがる傾向が多い気がする。
    一番顕著なのは「とりあげずゲイ・フェミ・黒人撮っとけ」みたいな作品。
    そんで腕のある奴はそれにセンスの良い音楽や綺麗な映像を加味して、「何となく社会派っぽい芸術映画」に仕上げるというか。
    腕の無い奴の駄作でも、「センセイの評価ポイント」だけ抑えておけば、とりあえず酷評はされないと。
    例えば「ムーンライト」なんかはその巧くいった典型じゃないですか、あれ黒人を全部白人に変えたらそんな大した内容じゃないし。

    • 映画男映画男 より:

      確かにその傾向はあるかもしれませんね。

      • あいまいみー より:

        リクエストさせて頂いたものです。
        おっしゃる通りベタでしたね。描き方はまぁ良作に入る部類だと思いますが、新しい視点は特にないというか…
        あと、ツッコミどころが的確過ぎて笑いました。冷静に考えたら引っ越すべきですよね(笑)
        またリクエストさせて頂こうと思います。ありがとうございました。

      • あいまいみー より:

        完全に同意です
        ムーンライトは全部盛りでしたね