2016/03/11

フィッシュ・タンク(原題 Fish Tank)


81点(100点満点)

ストーリー

ミアを取り巻く環境は劣悪だ。労働者階級のアパートに住み、粗暴な隣人たち、昼間から酒を飲む母親と口汚く罵ることを早くも覚えた妹。彼女自身もやり場のないフラストレーションから、常に周囲とトラブルばかりを起こしている。ダンスだけが彼女が自分を表現できる手段だ。ある日、ミアは、台所で上半身裸でうろつき回る母親の友人のコナーと出会う。コナーはミアたちの生意気さを意に介する風もなく、自然と一家に入り込んでくる。初めて自分をまともに扱ってくれる大人の男にミアは引かれてゆく。一方、彼女は「女性ダンサー募集」の広告を見つけ、コナーの応援もあり、挑戦しようと思いつく。

(goo映画より)

文句
下品で粗暴な人間が集まる地域で生きる少女の思春期ドラマ。不良少年少女や労働者階級の男女の生活レベルが垣間見れ、その中で足掻こうとする少女のわだかまりが痛いぐらいに伝わってくるリアリティームービー。

皮肉たっぷりのイギリス映画特有の会話、決して一筋縄にはいかない展開、シャレの効いた細かい笑いに見ていてワクワクさせられました。なにより貧しい地域に住み、ダンサーを夢見る少女ミアがいざ踊ってみたら素質がなく、踊りが下手なのがいいです。あれをダンスがバリバリ上手い少女にしていたら夢を叶えて終わり、というただの単純なつまらない映画になっていたでしょう。

ミアは母親のボーイフレンドのコナーに恋心を抱き、叶わぬ恋が物語の核となります。母に対する嫉妬、大人の男に対する憧れを胸にミアはなんとか彼に近づこうとします。コナーが男前で優しく、しかしいざセックスしたら急に冷たくなる、というただのいい男で終わらないところがまたいいです。

学校に行かず、友達もほとんどいない。家族とは上手くいかず、恋した大人の男には遊ばれる。そして大きな夢を抱いて臨んだダンスオーディションでは大人たちの罠が待っている。とことん容赦なく厳しい現実を15歳の少女にぶつけてくるにも関わらず、胸が痛むだけじゃなく最後は不思議と清々しい気持ちにさせられました。

ストーリーとは直接関係のない年老いた馬がこの映画にさらなる深みを加えていましたね。鎖で繋がれ、どこにも行くことのできない痩せ細った馬。歳を聞くとちょうどミアと同じぐらいの歳。あの馬にミアは行き場を失った自分を投影していたのでしょう。

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