2016/07/08

Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち(原題 Pina)

退屈が芸術だと思っている監督ヴィム・ヴェンダースによるちょっぴり芸術的なドキュメンタリー。ピナを知る舞踊団員によるショートインタビューとバレエ&演劇をミックスした舞台劇のみで構成された映画で、物語を映画に要求する人にはあまり向いていないのに対し、舞台劇が好きな人は飛び上がって喜びそうな一本。50点(100点満点)

ストーリー

天才舞踊家と称されるピナ・バウシュ。2009年に急逝したピナの輝かしい軌跡を、映画監督ヴィム・ヴェンダースがとらえる。ピナが芸術監督を務めたヴッ パタール舞踊団のダンサーたちが、彼女が振り付けたダンス作品を披露。自然の中や交差点など、あらゆる場所がステージとなり、ユニークなダンスが展開される。

(YAHOO映画より)

文句

最近のヴィム・ヴェンダースの映画の中では、「パレルモ・シューティング」や「アメリカ、家族のいる風景」など他がひどいだけに飛びぬけていい映画に感じました。天才舞踏家ピナによる振り付けがユニークで、ただあの踊りを見るだけでも十分な価値があります。

ピナの踊りはバレエの優雅な円を描いたような柔らかい動きに、手足をカクカクさせた硬い動きを取り混ぜていました。あれはきっと江頭2時50分からパクったんでしょう。あ、こんなこと言うと怒られちゃうか。

舞台だけでなく自然の中や道端で披露するパフォーマンスとそれに合わせたBGMがとても効果的でした。一つのダンスからまた別のダンスに移る各シーンのつなぎが巧妙で、「俺は退屈な映画だけを撮る監督じゃないんだよ」とヴィム・ヴェンダースから言われているような気がしました。

舞踊団には韓国、ブラジル、アメリカ、フランス、スペインなど世界各国のダンサーがいて、それぞれが「ピナは貫くような強い視線を持っていて、彼女の目はまるで空のような・・・」などと台本に書いてあることをそのまま喋っているようで可笑しかったです。

もしかしたらあのレベルの舞踏家たちは常にそういう喋り方をするのかもしれませんが、一人ぐらいあの中に「ピナ? わたし結構苦手かもぉ」とか言うバカ正直な奴がいたら記録映画として一層真実味を帯びてくるんですけど、さすがにそうはいきませんでしたね。

ダンサーというと若い人のイメージがどうしても頭から離れません。しかしヴッパタール舞踊団にはそれこそ白髪のおじさんおばさんがいて、かなり年季の入ったそれでいて力強く見事な踊りを見せていました。

ああいう人たちにはぜひ死ぬまでずっと踊り続けてもらいたいです。その昔、一度でいいからフラメンコダンサーに寝る前にベッドの前でフラメンコを踊ってもらいたいなあ、と空想していたことがあるのですが、ヴッパタール舞踊団のダンサーと結婚している人たちはそういうお願いを妻や夫にしているのかちょっと気になります。

「ねえ、頼むから俺が眠りにつくまでそこで踊っててくれよ」
「また? あんたこれで今週3回目よ」

こんな夫婦も悪くないと思います。踊らされるほうはたまったもんじゃないけど。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう