BPM ビート・パー・ミニット(原題120 BATTEMENTS PAR MINUTE)

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エイズ団体の活動をつづったLGBT向け、フランス発リアリティー芸術路線ミニシアター系映画。完成度は高いのにちっとも響かない映画です。33点(100点満点)

BPM ビート・パー・ミニットのあらすじ

1990年代初頭のフランス・パリ。「Act Up-Paris」はエイズへの偏見を正そうと、新薬の研究成果を隠す製薬会社を襲撃したり、ゲイのパレードに参加したりするなどの活動を行っていた。メンバーのショーン(ナウエル・ペレース・ビスカヤート)は仲間のナタン(アルノー・ヴァロワ)と愛し合うようになるが、次第にエイズの症状が表れてきて……。

シネマトゥデイより

BPM ビート・パー・ミニットの感想

ロバン・カンピヨ監督による、HIV感染者たちの活動をつづった、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作品。

ロバン・カンピヨ監督は「パリ20区、僕たちのクラス」の脚本を書いただけあって、演出や雰囲気が「パリ20区、僕たちのクラス」にものすごく似ています。

特に多くの時間を登場人物たちのディスカッションに割いてるところは同じですね。ただ、この映画の場合、肝心なディスカッションが面白くないです。

カメラは、エイズの偏見をなくすために市長の講演会に乗り込んだり、製薬会社に進入して抗議をしたり、学校の授業に割り込んでエイズ予防を啓蒙するなど、ちょっと過激な活動をする「Act Up-Paris」を追っていきます。

中心メンバーのうちの一人、ショーンは積極的に活動に参加するうちに別のメンバーのナタンと仲良くなり、肉体関係を持つようになり、HIVに感染した経緯などを語り合います。ところがそのうちショーンの体調が悪化し、入院を余儀なくされる、というのがストーリーの流れです。

なんでしょうね。演技は上手いし、リアリティーは申し分ないけれど、話に吸い込まれないんですよ。テンポが悪く、ワンシーンに必要以上の時間をかけて撮っているため途中で集中力が切れてしまいました。

ディスカッションにフォーカスするあまり、それぞれの登場人物に存在感が欠けてしまい、特定の人物に感情移入したり、強いインパクトを受けたりというのがなかったです。

エイズへの偏見を正そうとしている人たちがゲリラ的に学校の授業を邪魔したり、ときには逮捕されるような過激な行動に出るっていうのもどうなんでしょうね。

抗議や批判をするのはいいけど、迷惑行為を続けたらエイズ患者の偏見がむしろ増すような気がして、あまり共感ができなかったです。残された時間がなく、必死なのは分かるんですけどね。

「若者がHIVに感染するのは学校にコンドームの販売機が置いてないからだ」とか言ってる奴がいたり、言い分が結構むちゃくちゃでしたね。

あんな風に無理やり自分たちのところに押しかけてきて、「あいつらが言ってるから、俺たちもちゃんと気をつけような」ってならないでしょ。

18歳のときに数学の先生と初めてセックスしたらHIVに感染したなどなかなか衝撃的なエピソードが出てきます。かつての恋人がエイズを発症して入院し、そのまま彼がどうなったかは知らないといった話などは実体験を基にしているのでしょう。

同性愛セックスシーンも結構しっかりやってるし、主人公が弱っていく様子も生々しいです。これだけリアリティーを追求してもなお面白くないっていうのが不思議でしょうがないですね。リアリティー重視の僕からするとある意味衝撃でした。

最後のセックスシーンはあれいらないですよね? なんでそんなに仲良くもないあの二人がやるんですか? 物語も終盤だから私たちもやっておきましょうかみたいなのは村上春樹だけにしてくれよ。

コメント

  1. てるき より:

    本当につまらなくて嫌悪感しか残らない映画でしたね。
    おっしゃる通り描写はリアルだけど、ただ騒ぎを起こすだけで何がしたいのかちっとも伝わってきませんでした。
    登場人物の誰にも共感できないというのも大いに納得です。
    あんなに何度も延々とクラブで踊るシーンも要らないと思います。
    と言うわけで日本ではまったく話題になっておらず、大コケの模様です。