共喰い

セックスも暴力もちゃん描ききれておらず、ただ不幸な人たちしか出てこない話。暇なときにこの映画を見たら退屈でもっと暇になります。28点(100点満点)

あらすじ

昭和63年。高校生の遠馬(菅田将暉)は、父(光石研)と父の愛人・琴子(篠原友希子)と暮らしている。実の母・仁子(田中裕子)は家を出て、近くで魚屋を営んでいた。遠馬は父の暴力的な性交をしばしば目撃。自分が父の息子であり、血が流れていることに恐怖感を抱いていた。そんなある日、遠馬は幼なじみの千種(木下美咲)とのセックスで、バイオレンスな行為に及ぼうとしてしまい……。

シネマトゥデイより


文句

同名小説の映画化です。

殴らないと気持ちよくなれない父親とそのDNAを受け継いでいる息子の話です。これといったエピソードはひとつもなく、なんとなく暗くて、貧しい人たちが悶々と日常を送るだけの作品です。

方言のせいか、滑舌のせいかセリフが全然聞き取れません。最大の見せ所は、主人公の少年が父親の愛人とセックスする下りで、ほかのストーリーはそのふりか全部カットしてもなにも支障がない作品です。

父親が恐ろしく暴力的だ、という設定なんですが、監督がびびりなのか、あるいはSの気持ちが分からないのか、父親が後妻とセックスする際には実際は大した暴力を振るわず、描写が幼稚でした。やることといえばちょっと引っぱたいて首を絞めるぐらいって。

強要されてるならまだしも、同棲するほど相手のことを受け入れてやってるんだったら、それはプレイでしょう。あれでドSみたいなこと言われても本物のSの人たちに怒られますよ。

そういえば「蛇にピアス」もそんな映画でしたねえ。登場人物たちが言葉では散々過激なことを言うくせにいざ本番になったらしょぼいんですよ。

物語は、歪んだ性癖を持つ父親に対して嫌悪感を抱く息子が同じような暴力的な性行為をしてしまうのを苦悩として描いていました。制御がきかず衝動的に手が出ちゃうみたいな感じで言ってましたが、あくまでも親密になった相手を対象としているので、分別はかなりついているようでもあります。

息子はセックスフレンドを神社に呼び出して、一度だけ無理やりフェラをさせようとしたものの、相手が嫌がったらすぐに引き下がるぐらい素直で、暴力性を描いているとは到底言えません。

俳優たちの演技はそれぞれ悪くないんだけれど、ストーリーが絶望的につまらないですね。よくこれ一本で映画を撮れるって思いましたよね。

小説でも映画でも「S」の描き方がかなりパターン化しているのが気になります。全然分かってないなぁって思うんですよ。引っぱたいたり、紐で縛ったり、首を絞めたりってそんなの遊びの範疇だから。あんなんでは全然甘いんですよ、相手も興奮してるんだし。

本当のサディストはセックスが終わった後が肝心なんです。まず自分がイッたら速攻で電気を付けて部屋中を明るくします。すっ裸なのに蛍光灯の光に照らされ、現実に戻された相手を尻目にトイレに行って小便をしてから、相手に聞こえるようにうがいをします。できれば水を吐き出すときにぺーっと大きな音を立てるのがコツです。

それからささっと服を着てタバコに火をつけ、貧乏ゆすりをしながら時計をチラチラ見ましょう。そこが自分の家だったら、「今からやることあるから」と言って相手を玄関に誘導し、そこが相手の家だったら「終電なくなるから帰るわ」と言ってさっそうと外に出て行きましょう。

別の日になって何食わぬ顔でまた同じ相手を呼び出し、一連の流れを繰り返します。これを同じ人に3回できたらあなたは立派なSです。「共喰い2」のオーディションには間違いなく受かるでしょう。