トゥルパン(原題 Tulpan)


72点(100点満点)

ストーリー

一人前になるために嫁をもらいたい青年を中心に、厳しい自然の中で暮らす家族の姿をユーモアで包みながら描く。雄大なカザフスタンのステップ地帯で生きる遊牧民一家の物語。

(https://www.cinemacafe.netより)

感想
カンヌ映画祭で、ある視点部門賞を受賞したカザフスタン映画。一緒にいたくないけど離れられない、邪魔だけどお互いが必要、という家族の微妙な憎愛を描いている秀作。近代社会とはあまりにも違う遊牧民の生活スタイルが幻想的で漫画の中の世界のようだった。草原を走るジープは「北斗の拳」に出てきそうな車だったし、主人公もその友達も漫画そのものというアホ面をしていたのがよかったです。あれで男前の芸能人然とした俳優を出演させてたら台無しだったでしょう。

主人公と友達が音楽を聴きながらリズムを取るシーンがあるのですが、そこで流れる音楽は洋楽でした。彼らが読むエロ本も金髪の女が出ている洋モノで、あんな辺境の地にまで西洋文化が浸透しているのを少し恐ろしく思いました。遊牧民の二人が都会に憧れを抱くのは、西洋、またはアメリカ文化への憧れがそのまま反映されているような気配もあります。そして目の前に実在する家族よりも、漠然と頭に描く、綺麗な女がいる、カッコいい服が売っている、なんだか知らないけどとっても楽しそうな物質的な、華やかな消費世界へと足を踏み入れようとする若者の葛藤がこの映画の最大の見所になっているのは近代社会に対する批判と受け取れなくもありません。ラストシーンは賛否両論がありそうですが、その前にところどころにしっかりと見ごたえがあるシーンが用意されているので主人公の最終的な決断がどちらに向いても映画の価値を下げないだけの面白みが全体にありました。

あえてわがままを言うならば、西洋文化の波にも決して屈することのない遊牧民的伝統セックスを拝見したかったですね。最近、どこの国の映画を見ていてもセックスシーンまでアメリカナイズされてきたなあと思って悲しくなることがあります。日本映画なんてそのうちセックスの最中に男女が和製英語で喘ぎだすんじゃないかと思ってヒヤヒヤしながら見ている始末です。そんな世界の傾向にも負けない性生活を遊牧民は満喫しているんじゃないのでしょうか。いや、きっとしているはずです。アメリカ人が日々自分の足のように使っている車の中でカーセックスを楽しむように、遊牧民には子供のときから当然のように乗りこなしてきた馬の上でセックスしてて欲しいです。女性の髪を手綱代わりに掴むのもいいでしょう。上手くバランスを取り、時速20kmぐらいのスピードを出しながら、大草原の中で男女がクライマックスを迎えるなんて、なんて感動的な光景でしょうか。これが本当の騎乗位だ、なんつってね。

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コメント

  1. お!観てる映画がかぶりましたね!
    トラバさせていただきます!
    やっぱあの音楽は、微妙やと思ったけど、洋楽のポップスやったんですかね?

  2. トルパン

    原題 Tulpan
    2008年 カザフスタン/ドイツ/スイス/ロシア/ポーランド
    監督 セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ
    出演 アスハット・クチンチレコフ
    サマル・エスリャーモヴァ/オンダスン・ベシクバーソフ
    兵役を終えた若い彼は、故郷のカザフスタンに戻り、姉夫婦の家….