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6才のボクが、大人になるまでは撮影に12年の名作! ネタバレと感想

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実際に12年間かけて子供たちの成長を描いた、人生と時の流れを感じさせる作品で、監督の映画に対する情熱が伝ってくる一本。76点(100点満点)

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6才のボクが、大人になるまでのあらすじ

メイソン(エラー・コルトレーン)は、母オリヴィア(パトリシア・アークエット)と姉サマンサ(ローレライ・リンクレイター)とテキサス州の小さな町で生 活していた。彼が6歳のとき、母は子供たちの反対を押し切って祖母が住むヒューストンへの引っ越しを決める。さらに彼らの転居先に、離婚してアラスカに 行っていた父(イーサン・ホーク)が1年半ぶりに突然現れ……。

シネマトゥディより

読者Tofutoroさんのリクエストです。ありがとうございます。

6才のボクが、大人になるまでの感想

エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に」のリチャード・リンクレイター監督が丹精込めて作った家族ドラマ。

ここまで時間をかけて一本の映画を撮ろうとする監督はもはや日本には存在しないでしょう。時間をかければいいってもんじゃないけど、2、3ヶ月でちゃちゃと撮って「はい、できました」的な映画が最近多すぎてうんざりします。

子育てをしている人が見たらじーんと来るんじゃないでしょうか。青春映画としても見られる一方で実は両親の目線でカメラが子供たちを追うようなところがあって母性や父性を強く感じさせます。なので10代、20代の独身の人にはダラダラと長いだけで退屈かもしれません。上映時間は驚異の2時間45分です。それくらいの尺を使わないととても12年間の軌跡は描けなかったのでしょう。

サマンサとメイソンの姉弟の幼年期がとにかく可愛くて、あの時代にもっと時間を費やしてもらいたかったですね。でもそれはちょうど親が小さな子供がずっとこのままでいてくれないかなと思うような儚い時間と同じなのかもしれません。

少年少女から思春期を迎えるまでの成長の過程で子供たちの人生において一番大きな影響を及ぼすのはやはり両親で、サマンサとメイソンは常に親たちに振り回される運命にあります。母親のオリヴィアが恋多き女性で、最初の旦那と離婚した後も、大学の教授と恋仲になり結婚し、サマンサとメイソンは教授の連れ子たちと共同生活をすることになります。

しかしそんな生活も教授がお酒を飲んで荒れるようになってから破綻し、逃げるように家を飛び出します。オリヴィアはそれでも懲りずにまた数年後にはほかの男性と再婚。その男性とも結局は離婚します。母親が新しい男を作る度に子供たちは転校しなければならなくなり、新しい義理のお父さんと暮らさなければならなくなる、というストレスを抱え、当然二人の人生の価値観に反映されていきます。

母親が次々と男を取り替えていくのを見て育ったメイソンはある日、自分の恋人と別れたときの悩みを打ち明けているときにお父さんにこう聞きます。

「それで結局なんの意味があるの?」

「何の意味って?」

「これら全てのことの意味だよ」

人と知り合って、恋をして、付き合って、別れて、またそれを繰り返してということに10代のときからすでにある種の虚無感を感じているのです。あれは母親の影響だろうなあと思いましたが、どうでしょうか。

日本も離婚が増えているのでこれからこういう家族がどんどん増えていくはずです。今ではまだ珍しいうちに入るかもしれないけれど、週末だけお父さんと過ごして、ほかの日はお母さんと過ごすといった生活を送る子供たちが今後どんどん増えていくでしょう。離婚文化まで西洋化していくのはもはや止められないでしょう。

一方でアメリカではこの映画が描く家族は至って普通の家族だし、僕の住んでいるブラジルでも当たり前です。兄弟全員が腹違いとか、クリスマスに子供たちに会うためにお父さんの元奥さんたち、あるいはお母さんの元旦那たちが一堂に会したりすることもあります。

さすがに日本ではまだまだそこまでみんながドライの領域に達するには時間がかかりそうですが、時代と共に家族の形も姿を変えていっているのに順応するのは大変そうです。あと数十年もすればそれこそ同性愛カップルに育てられる子供たちも当たり前になるだろうし。「キッズ・オールライト」もそういう映画でしたね。

僕のブラジル人の女の子の友達にも男をとっかえひっかえするお母さんを持つ人がいるんですが、お母さんに彼氏ができると、最初は1週間に一度だけ家に遊びに来るそうです。そのうち金土は必ず泊まっていくようになり、ある日から彼の歯ブラシが洗面所に置かれるようになります。そして男が家にプレイステーションを持ってくるようになったら、もうまもなくしてから一緒に住むようになるそうです。

それから知らないオジさんとの共同生活が始まり、慣れてきたら当然のごとく喧嘩が始まってやがて男が家を出ていきます。過去には自分の家ではなく、向こうの都合で男の家に一緒に引っ越すはめになったこともあります。男と同棲するために家を引き払ったものの、お母さんが引越しの最中に男と喧嘩になり、二人が突然道で殴り合いを始め、行く場所がなくなり、路頭に迷ったこともあるそうです。

僕も両親が離婚しているので、そういう話を聞くと胸が痛くなります。その女の子が男性不審になったりしないといいなと思います。あるいはお母さんと同じ道をたどるんじゃないかな、などといらん心配もしてしまいます。でもお母さんからすれば「私にだって幸せになる権利があるのよ」なのでしょう。

日本にもこのような中山美穂風の女性が増えましたね。そういう女性を見るととても西洋的だなあという気がするのは僕だけでしょうか。

かくいう男は昔から家族を省みない男は日本にもいますね。男は昔から馬鹿だからね。それにしてもなんか同棲や結婚の価値が下がってるなあと感じます。アホな西洋人が結婚の価値まで下げて海外にまで輸出してやがるなあ、と思います。

コメント

  1. Tofutoro より:

    おお、リクエストに応えていただきありがとうございます。予想外の高評価。

    メイソンJr.君のお姉さん役の子は監督の娘らしいですね。もう少し素朴な感じの子ならもっと好感を持てたんですが、あまりにも生意気そうだったので観ててイライラしてしまいました。『別離』の長女役の子とは大違い。

    リチャード・リンクレイター監督と言えば、イーサン・ホークとジュリー・デルピーの『ビフォア~』三部作ですが、映画男さんの評価はどうですか?

    • 映画男 より:

      Tofutoroさん

      リクエスト&コメントありがとうございます。僕的にはお姉さん役の子のキャラは結構好きでしたけどね。メイソンと彼女が常に不機嫌そうな顔をしているのも母親に振り回されたストレスだと思います。

      この監督が「恋人までの距離」の監督だとしって驚きました。だからイーサン・ホークを起用したんですね。あのシリーズはただのつまらない恋愛映画ですね。