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映画8月の家族たちは脚本と演技がすごい!ネタバレと感想

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August-Osage-County

二ツ星の料理人」、「カンパニー・メン」などで知られるジョン・ウェルズ監督による登場人物のセリフの掛け合いがすごい作品。77点(100点満点)

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8月の家族たちのあらすじ

オクラホマの片田舎に住む母親バイオレット(メリル・ストリープ)と、父親がこつぜんと姿を消したことで集まった3姉妹。一癖ある母バイオレットは病を患い、長女のバーバラ(ジュリア・ロバーツ)は夫(ユアン・マクレガー)の浮気と娘(アビゲイル・ブレスリン)の反抗期に悩んでいた。

一方、次女アイヴィー (ジュリアンヌ・ニコルソン)はひそかな恋に胸を躍らせており、三女カレン(ジュリエット・ルイス)は家族の危機に婚約者を伴い帰宅した。

シネマトゥディより

8月の家族たちの感想

優れた脚本と演技による、セリフ中心で物語が進んでいく上質の家族ドラマ。序盤から1時間は退屈で、少しずつヒートアップしていく、スロースターターの作品で、あるシーンを境に目が離せなくなっていく大逆転映画。

オクラホマいちのゲス家族、 ウェストン一家は父親が行方不明になり、その後死体で発見されたことを機に久しぶりにみんな一つ屋根の下に集まります。母親バイオレットは癌を患い、薬でハイになりながら周囲に当たり散らす始末。

三人姉妹はそんな母親に対して愛憎のこもった複雑な気持ちを寄せます。家族はそれぞれ他人に知られたくない秘密を持ちつつも、母親のバイオレットだけは全てをお見通しで、それをネタに次々と攻撃を始めます。やがて家族の口論は取り返しのつかない方向に向かい、集まったはずの家族はまたバラバラになっていく、というのがおおよそのあらすじです。

脚本の巧妙さを理解するために、二回見ることをぜひおすすめします。映画館で一度、時間をおいてDVDで二度目を見たらいいかもしれません。正直前半はただの嫌味な面倒くさい家族の映画だと過小評価していました。それが家族揃ってのディナーのシーンから登場人物のキャラや背景がむき出しになります。

ゲスいです。とにかくゲスい家族で会話に皮肉と嫌味と悪意しか含まれていないような救いようのない口論が続きます。そして視聴者がその皮肉に圧倒されることなく、ドン引きしなければ、その口論で大いに笑え、またその後のストーリーに対する鑑賞の姿勢を改めるはずです。

前半の1時間の退屈さは監督がいろいろな伏線の種を巻く時間だと思えば納得がいきます。注意してよく見ると、後半の衝撃的な告白の数々は実は前半ですでに暗に語りつくされていることが分かるのです。

例えば冒頭でいきなり、父親の語りから始まりますが、あのとき机に封筒やノートがあり、手に鉛筆を持っているのが気になりました。あれはひょっとするとあの時点で遺書を書いていたんじゃなかろうか、と考えられます。

また、バイオレットの妹夫婦が家に来たときに、息子リトル・チャールズが寝坊して遅くなる会話になりますが、そこで妹夫婦の夫のほうが「(行方不明になった)ベバリーとリトル・チャールズは昔からダメなところが似てやしないか」と、二人の血のつながりに触れてしまうのです。あの辺の細かさなんかは恐ろしいですね。

物語の中心となるのは、トラブルメーカーであり、口の悪い母親バイオレットですが、このおばさんの観察眼の鋭さを見ているだけでもワクワクしてきました。とにかく人が嫌がるポイントを瞬時にキャッチして、後々それを武器に口論をふっかけてくる、という魔女のような女でした。

一番よく喧嘩の標的にされるのが長女のバーバラです。バーバラに対する恨みは根強く、それはバーバラが自分たちを捨ててオクラハマを出て行った当時にまでさかのぼります。

そのことを永遠と根に持ち、たびたび会話に出してくるチクチク攻撃が面白く、またバーバラと旦那が不仲であることをわずかな二人のやり取りから瞬時に見つけてしまいます。バイオレットを演じたメリル・ストリープ、そしてバーバラを演じたジュリア・ロバーツの掛け合いは見事でしたね。

会話の内容やストーリーは終始暗くて、げんなりする、救いのない話なのであまり育ちのいい人にはおすすめできません。世の中の人々は基本的で幸せで、みんないい人たちだ、なんて信じている人が見たら、ただの不幸な家族たちの下品な物語として処理されてしまうかもしれません。

ただ、僕なんかは他人の不幸話とか、仰天エピソードは大好物なので画面に食らいついてました。なぜか周囲に集まってくる人間もこの映画の登場人物のような問題ありの人たちが多く、「私って実はお父さんの弟の子供なんだよねえ」などとこの映画にも負けず劣らずのぶっ飛びエピソードを打ち明けてきた人もいたっけ。

「お父さんの弟の子供」というのはつまり叔父さんと自分の母親が浮気してできた子供ということです。嘘みたいな話ですが、そういう人も世の中にはいるのです。そしてそういう人たちに対して自分がどういう反応を示すか知りたければこの映画を見れば答えが出るでしょう。

コメント

  1. T-G-M より:

    映画男さん

    以前そちらに投稿したt-g-mです。
    今回DVDでこの映画を観ました。

    改めて、メリル・ストリープの演技力に圧倒されました。
    他の出演者も見事です。

    自分はこの映画は現実世界、実生活において教訓になる作品だと思いました。

    日本でも所謂「モンスタークレーマー」が話題になっていますが、この映画のジュリア・ロバーツの様に痛快な切り返しが出来ないと、この世の中を渡って行けないと思いました。

    以上です

    有難う御座いました。

    • 映画男 より:

      T-G-Mさん
      コメントありがとうございます。確かにメリル・ストリープの演技力は圧巻でしたね。

  2. zebra より:

    おとといDVDで見ました。

    この母親・・・(汗)
    まじ ムカツク!

    ここまでひどいと いくらガンでも「てめえの面倒は てめえで見ろ」といいますね。
     けど、まあ この母親も 周りを攻撃しないと 精神が落ち着かな人なんでしょうね・・・やれやれ。

    >集まったはずの家族はまたバラバラになっていく
     たしかに 次々と いなくなってゆく家族の面々、 そして決定的なのは 最期に打ち明けられた 母ヴァイオレットの秘密。

     貸金庫の金が大事だったことで 親父が自殺する予兆を知っていながら止めなかったこと。お互いどちらかが死ねば 金が手に入るように取り決めをしてたから 止めなかった!・・・

     これ、一番やってはならんことだと思った。
    この秘密を打ち明けられた時点で ヴァイオレット家は母親とジュリア演じた長女しかいなかったけども、もし 親戚筋の他の者たちが知ったらと思うと余計に怖い。

    • 映画男 より:

      zebraさん

      コメントありがとうございます。確かに意地悪な母親でしたね。まさにそれこそがこの映画の一番の見所だったと思います。

  3. MAIME より:

     私はこの映画の面白さが分かりませんでした。
    映画男さんと意見が分かれましたね。 
     メリル・ストリープとマーゴ・マーティンデールの演技がすごかったですが。