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オン・ザ・ロードはただの青春映画じゃない!感想とネタバレ

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映像、音楽、ストーリーのいずれもセンスのいいロードームービー。自由と青春を感じさせてくれるのがいいです。76点(100点満点)

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オン・ザ・ロードのあらすじ

 父親の死を引きずり鬱屈(うっくつ)とした日々を過ごす青年作家サル・パラダイス(サム・ライリー)。ある日、彼は内省的な自分とは正反対である奔放な男ディーン(ギャレット・ヘドランド)とその幼妻メリールウ(クリステン・スチュワート)と知り合う。

社会規範にとらわれずに自由なディーンの生き方、メリールウの美貌に惹(ひ)き付けられたサルは、彼らと一緒にニューヨークを飛び出して各地を放浪することに。かつてないほどの充足感と自由を得る彼だったが、そんな日々にも終わりが近づこうとしていた。

シネマトゥディより

オン・ザ・ロードの感想

セントラル・ステーション」、「モーターサイクル・ダイアリーズ」などでお馴染みのブラジルが世界に誇る監督ウォルター・サレスがジャック・ケルアックの小説を基にした人間ドラマ。

青年作家が刺激を求めて全米各地を友達と車で放浪するロードムービーで、序盤、中盤、後半と時間が進むごとにどんどん内容が良くなっていく不思議な作品です。

正直、序盤はかなり寒かったです。気持ち悪い男同士の友情が全面に押し出されたシーンばかりで、男同士がハグしたり、肩を抱きながら歩いたりしている姿ばかりが強調されていて不気味です。

会話するときは常に顔と顔がくっ付きそうなぐらいの至近距離で言葉を交わし、今にもキスでも始めそうで顔をそむけたくなります。

アメリカ人の男たちはあんなにベタベタしないだろって。あれはアメリカ人というよりアラブ人とかインド人の男たちの友情関係に近かったです。

見方によっては、よくある若者の恥ずかしい「自分探しの旅」に終始しています。サルとディーンは音楽を聴き、薬でハイになって女とやることに全力を注ぎます。

女にモテる男前のディーンは結婚しても、生き方を変えるつもりはなく、妻と子供を家に置いて平気で旅に出てしまいます。そんな自由人のディーンをサルは敬愛し、憧れを抱きます。

二人はときに美少女メリールウを”共有”したりもします。そんな刺激的で、性的で楽しくて自由な彼らの生き方を見て、外国旅行に行き始めたばかりの日本の大学生とかも鼻息を荒くして興奮しそうなもんです。

しかしこの映画がすごいのは、ただのヒッピーの若者映画では終わらず、ヒッピーとして生きた若者のその後を描いているところです。

ディーンが旅を終えて妻と子供が待つ家に帰った後、つまり現実の世界に戻った後の展開がすばらしかったです。

旅が終わって日常に戻ればイケイケのディーンも普通の男。美少女メリールウはディーンを忘れてあっさり昔のフィアンセの元に舞い戻り、サルは小説を書きます。

ディーンはやがて奥さんから愛想をつかれ、思いつきでサルとメキシコを旅しますが、その頃から、固かった二人の友情にも変化が現れます。

モラルも持たずに自分中心に生きてきたディーンの行き着く果てが青春をより一層儚いものにし、そんなディーンを見てサルは小説を書かないわけにはいかなくなります。

若者が遊んでいるシーンが物語りの大部分を占めるのに見終わったときになんか悲しい映画だなあ、という気持ちになったのが意外でした。

ただの楽しい映画で終わっていたら、ひどい出来になっていたところでしたが、中盤から後半にかけての巻き返しが映画全体の評価を変えました。

日本にもヒッピーの真似事みたいなことをしている人がいて、海外に薬をやりにいったり、レイブに参加したりするのを人生のメインイベントとして生きている人がいます。

この前、2人の子持ちで30代後半の男が奥さんと子供を家に置いたまま、若い愛人の女を連れて僕の住むブラジルに来ていました。

二人は幻覚が見られるお茶アワヤスカを飲みに来たそうで、さんざんブラジル音楽と文化のすばらしさについて語って帰っていきました。

信じられないことにその男の職業は介護で、それも鬱病を理由にして仕事をさぼってブラジルに来たんだってさ。それなのに介護がどれだけやりがいのある仕事かを散々熱く話していたのが笑えました。

日本のようなモラルの厳しい国で無理してヒッピーをやっている奴らはなにをするんでも必ず自分の行動を正当化ばかりします。

後ろめたさがある時点でそいつが”本物”ではないことが分かります。この映画のディーンがすごいのは、決して自分のやることを誇るわけでもなく、否定するわけでもなく、ましては正当化するなんてことはしないことです。

劇中にディーンが自分の行動を正当化したのはただ一度だけです。金目当てでホモのおっさんとやったときに、サルに対して「俺たち二人が食べていくためにしょうがなくやったんだよ」などと言っていましたね。さすがのディーンもあればっかりは後ろめたさがあったようです。

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